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成長産業コンビニの「収益モデル」に揺れ! 販売戦略が転換
2007年06月05日 09:52 更新

コンビニ業界に変化のきざしが現れています。王者セブンーイレブンが1979年の上場以来初の営業減益となり、また、コンビニ大手各社は拡大戦略を転換しつつあります。

セブンは「若者から地域住民のためのセブンーイレブンに生まれ変わる」(セブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長)といい、昨年秋からしょうゆや調味料30品目の商品の値下げを断行しています。安売りしないはずのコンビニの販売戦略そのものに変化がおとずれているのです。

変化や拡大戦略の転換は「収益モデル」が揺れ、「成長鈍化」が鮮明になってきたことによるものですが、ここでは2回にわたってコンビニの歴史と現状を見てみることにします。

1回目はセブンーイレブンのなし遂げてきた歴史を簡単に振り返ります。いまでこそコンビニは当たり前に小売りのひとつの業態として受けいれられています。

でも「コンビニ」の歴史やその進化は、小売りの新たな業態の確立であると共に、その時代その時代の流通における(広い意味では産業という面でも)「ブレークスルー」の連続だったことが伝わってきます。小売り業界も含め産業界が当然と考えていた常識をことごとく打破してきた「改革の歴史」なんですね。

たとえば、商品の「共同配送」があります。これは掛け値なく「物流改革」と言えるでしょう。創業当初、セブンイレブンの1店舗への納品車は1日70台にもなったといいます。牛乳なら全農、明治、森永、雪印と各社が商品を別々に配送していたからです。

店の前に何台も車が並び不経済だ、と。そこで地域別に、他社製品も混載する共同配送を提案する。

猛反発をくらいます。
「ブランドに対するメーカーのプライドがわかっていない。よその商品をうちの車に載せられるか」

それはメーカー側の「売り手市場(の時代)」だったからです。まさに日本の高度成長期でした。

あるとき、鈴木会長は店舗である実験を試みます。メーカーの納品がくると、他社製品を奥に押しやり自社製品を前に並べる。店舗は、このやり方だとあまり売りあげが伸びない。

そこで客が自在に選べるように各銘柄をそろえて並べた。するとどの銘柄も売り上げが伸びた。

これはまさに「買い手市場」の実証であり、かつ売り手の都合が通用しない「売り手市場」から「買い手市場」への転換でもあったのです。で、各社に混載方式の共同配送を実施してもらう。

1980年のことで、流通史上初の「共同配送」の誕生です。半年後に各社の配送費が三分の一に。しかも販売量も増えました。

共同配送システムはその後、飛躍的な進歩をとげます。商品に合わせて4段階の温度帯別に集約配送する配送センターの設置などです。納品車両は9台にまで減りました。

それからPOS(販売時点情報管理)の開発があります。もともとはコンビニのヒット商品であるおにぎり、おでん、調理麺などの需要創出のため、販売の仮説と検証の必要性から開発されたものでした。

これらの商品は並べれば売れるわけではありません。発注は前日です。仮説を立てての発注となり、結果を検証する。しかしシステム開発がこれまた難儀の連続。

大手電機メーカーは「前例のない試みにどこも難色」を示したのです。はじめはファックスの利用を考えたが、限界があるだろうとのことで発注データの電送を検討しての打診でした。

唯一NECが応諾してくれたものの、交渉の場で反発を受けます。それは、他社の参考機種の半分のコスト、開発期間2年の四分の一、台数500台を求めました。

それは「非常なまでの低コスト、常識的に不可能な納期、とんでもない台数」との反発でした。

最後はNECのトップによる「現場のニーズ」「コストは長い目で」との判断で、開発への取り組みがはじまります。

1978年、発注台帳から品目をバーコードで読みとり電送する発注端末機が全店に配置されます。当時としては画期的な器機でした。が、これは単に発注の効率化の域をでていませんでした。

あるときパンの品ぞろえを調べたら、欠品による「機会ロス」と売れ残りの「廃棄ロス」が生じていた。買い手市場だから客は欲しいものしか買わない。単品ごとに売れ筋と死に筋の把握が要る。あるのは発注データばかり。販売データが何としても必要。

しかし開発前にやるべきことがありました。数字に影響されやすい人間の心理の管理でした。今日のデータが示す売れ筋商品が明日も売れるとは限らないのに、売れると考えてしまう。

それは過去の実績。明日の天気、温度、地域の行事予定……と多様な先行情報から客の心理を読んで仮説を立てての発注であり、結果を検証します。

仮説と結果の検証を繰り返し、機会ロスと廃棄ロスを最小化する。これが「単品管理」であり、このプロセスこそが重要。

単品管理の意識を徹底させることに努め、機を見てPOSの開発に着手します。1983年、日本初の本格的POSシステムの全店導入となります。

これはこの4月、日経新聞のわずか数日の「私の履歴書」から拾ったものです。たった数日の紙面だけでも、ビジネス界での「現状打破」や「画期的な開発」が目白押しに紹介されていました。

つまり、コンビニ(セブンーイレブン)という小売業態は、その進化のプロセスを追うと、単に小売業界のみならず、産業界やビジネス界に多大な影響を及ぼしてきたことがわかるんですね。(続く)

参考 日経新聞4月の「私の履歴書」/日経新聞4月23日、5月24日、25日/鈴木敏文著「なぜ売れないのか なぜ売れるのか」/週刊東洋経済5月26日号より


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