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日産工場跡地に「巨大SCオープン」 地元商店街の頼みの綱は「イベントのみ」とアンケートに解答
2007年01月22日 22:18 更新

これが全国の商店街の縮図?

本文にはいる前に、次の設問を流し読みしてみてください。
イベントや集客にかかわる〝ポイント〟ともなる設問です。

下記の五つについてどう思いますか。いずれも「正解」ではあるんです。
ただし、「イベント」にしろ、「集客」にしろ、下記の五つは、基本的には「思い違い」なんですね。何故、「思い違い」なんでしょうか。

① モノが良ければ集客できる
② イベントを開けば人は集まる
③ お客が来れば収益も伸びる
④ 子どもを狙えば親も付いてくる
⑤ お客が来るのであれば誰でもよい

(さて、本文です)
東京都武蔵村山市。
大型SCのオープンで、地元商店街の商業者が考えている対策とは「イベント」頼みであることがわかった。
しかし新奇なイベント展開や「商品を売るだけではない」何らかの魅力ある仕掛けをともなうような具体策はなく、従来の企画をひきついだ次元での回答のようである。

つまり、たまたま「問われた」から「イベントを!」と答えているに過ぎず、日常の忙しさにかまけて、そこには知恵もうかばす、情報もないようなのだ……。

回答には積極的なものもあるが、下記の本論の数値で示したように圧倒的に否定的な見解が多い。
「このような状況になっての本設問(調査)はナンセンス」
「経営困難になるのは間違いない。市は何の対策もしていない」
「現在も売り上げが20~30%落ちなのに、大型SCができたらすぐにシャッター商店街になってしまう」
というような、小さな商店街のあえぎの声もあり、このままではSCに客を奪われ、指摘通りに、全国どこにでも見られる「シャッター通り」と化す明日が待っているのではないか。

いわば、この調査結果は、全国の商店街の縮図といえるものかもしれない。ただしこのSCのオープンした場所は、ニュースで以前から採りあげられていて注視されていた場所である。

(ここからが本文の本論)
日産のゴーン氏による同社の経営改革により閉鎖された東京都武蔵村山市にあった同社の武蔵村山工場。その広大な工場跡地に昨年11月、首都圏でも大型といわれる規模のSC「ダイヤモンドシティ・ミュー」(店舗面積だけで約75,000㎡あり、東京ドームの約1.6倍)がオープンした。

このSCオープン直前に、武蔵村山市役所が、市内八つの商店街に「オープンをどう見ているか」の調査を、商店会に加盟する約300人を対象に実施、有効回答199人を得ている。調査は9月15日から10月末までの間におこなわれた。

調査によると、年齢は50歳以上が全体の72%(50歳台26%/60歳台35%)を占めており、SC開店の影響については「マイナスと捉えている」のが52%で、「プラスと捉えている」の7%を圧倒している。

で、「あなたの経営する商店では、SC出店にたいする対策は」の回答では、「対策がない」が73%と「対策がある」の23%の3倍となった。つまり4人中の3人が「お手上げ」であるということだ。

この「対策がある」と答えたひとたちに、では「その対策とは」とさらに問うと、「イベントの実施」を挙げるひとが73%を占めた。

その内訳をみると、「商店会、スタンプ会での大売り出しなどのイベントの充実」が44%で、「自分の商店での大売り出しなどのイベントの充実」が29%である。

この回答だが、実は設問そのものに選択肢があり、それを選ぶようになっているので上記のように商店会、個人商店とも「大売り出し」という回答しかないのである。

そして回答の選択肢のなかに「商店会による空き店舗を利用した集客施設の設置」という選択肢もあったが、これには無回答でゼロだった。それから、その他の欄に「新・元気を出せ商店街事業の充実」との書き込み回答があったが、これとて数値から類推すると3%台とおもえる。

つまり商店会としてのアイデアや独自の賑わいや集客をおこなう事業、すなわち「商品を売るだけではない活性化策」が現段階ではほとんどない、ということである。
そして「商品を売るだけではない活性化策」が〝ない〟という姿が、全国のほとんどの商店街の現実であろう。(こうした現実が1982年の全国の小売店172万店をピークに減少の一途をたどり、2004年には123万店まで落ち込んだ一因でもあろう)

一方で、再生している商店街や賑わいを取り戻しつつある商店街は「商品を売るだけではない活性化策」や「商店街全体」を考えた企画や仕掛けに知恵を絞って「魅力」を生み出している。(全国にお手本があります)
それから、中心市街地の賑わいを取り戻す対策としてこれまで国は「ばらまき型」で支援をしてきたが、それを改め、「やる気」のある市街地に「重点的」に補助金を投入することに決めている。
つまり従来通りの「イベントでも、イベントしか、のデモシカイベント」から抜けした真剣な「振興イベント」に真摯に取り組まなければ、今後は補助金も下りず支援もなく、あとは衰退の道を歩むということになる。
武蔵村山市の大型SC開店にまつわる地元商店街への調査データを見ながら、そんなことを思った。


最後に冒頭に掲げた設問の解答です。
思い違いのわけは、
「これらの一つを信じて、それに頼った集客方法だけでは失敗する」
ということです。
よしんば、
「これらの一つの策で集客できたとしても、必ずしも狙っていた集客目的が達成できるとは限らない」
ということです。

フードテーマパークを仕掛けたナムコのチームナンジャのリーダーは、「集客システム」と売り上げにつながる「集金システム」は異なる、と喝破しています。
知恵をださねば、商店街は衰退するばかりです。


*参考:設問は加藤圓『デジタル集客術』を参考にしました。


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