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②コンビニの転換、各社次代の活性化策を模索
2007年06月13日 13:01 更新

「従来型のコンビニ、つまり〈弁当と飲料を売るモデル〉は明らかに限界に来ています」ローソン新浪剛史社長。

いま、コンビニ大手は拡大戦略を転換しつつあります。セブンイレブンは閉店数を過去最高の450に増やし、業界4位のサークルKサンクスは出店数より閉店数が多くなっています(いずれも2008年2月期)。大手4社の店舗の増数は2000年2月期以降最低となり、計画段階から店舗数を減らしたり、前期より出店数を減らしたりして、異例ともいえる判断をくだしています。

拡大戦略の転換は、競争の激化による不採算店が増えたことと、雇用情勢の回復で店舗経営のなり手が減っていることにあります。

一方では既存店の売り上げが減少しており、成長にも鈍化がみられます。既存店の売上高はこのところコンビニ業界全体も含め7年連続で前年を下回っています。

既存店の売り上げ減少と成長鈍化は、冒頭の新浪社長が言うように、コンビニにとって粗利益率の高い、稼ぎ頭だった弁当や総菜類などの売上高の落ちこみにあるようです。そして落ち込みの原因は、スーパーや低価格外食店や持ち帰り弁当チェーンとの競合の激化によるものといえます。

コンビニの収益モデルが揺れている以上、当然それなりの対応策は打っています。その一つが前回にみた値下げの断行です。サークルKサンクスも、この6月25日から、調味料や日用品23品目の値下げを実施します。平均で12%下げるようです。

グループ力を活かした活性化策で動いているのがセブンイレブンです。たとえば物流ならグループを横断した飲料の共同配送があります。まだ実験段階ですがグループ内企業の物流施設を使っての共同配送、商品の一括納入に取り組んでいます。メーカーの物流コストを抑え店頭価格を引き下げるのがねらいのようです。

ほかにも高品質・低価格の新しいプライベートブランド商品「セブンプレミアム」も誕生しています。キューピー、伊藤園、サンヨー食品といった大手が生産委託先に名を連ねています。一足早くヨーカ堂で売り出していますが同じ商品がセブンの店頭にも並びます。

それからインターネットを使っての地方のみそや醤油などの特産食品の販売もあります。ネットで注文を受け、店頭で渡すという仕組みです。アマゾンの「食品版」ですね。

4月からはじまった電子マネー「nanaco(ナナコ)」はヨーカ堂やデニーズなどにも拡大させる方向です。最新の動きとしては、フライドチキンやコロッケなどの揚げ物の店内調理があります。

先行して導入したローソンやファミリマートが成果をあげていることも働いたようです。当初は300店ですが、これが1万1千を超すグループ全体となると今度は逆に外食産業などに打って出ることになり、その与える影響は大きいはずです。

揚げ物商品は、売り上げに伸び悩むコンビニ業界で今後成長が期待されている数少ない商品でもあり、弁当や総菜の落ち込みをこれで挽回させようということのようです。

ところで新浪社長によると、(これまで弁当や総菜が売れてきたのは)忙しさが全国共通で、時間を惜しんで働く人を(コンビニは)サポートしていればよかった。そこで、良質な弁当が、つまり東京の新商品が全国に一斉に入ることに価値があり受けいれられていたからだ、というのです。

ところが今は地域格差があり、地方では必ずしも忙しい人ばかりではなく、時間に価値を置かなくなっている人もおり、そういうことが販売に影響を及ぼしているといいます。

地域格差とは何かというと、地域の顧客に合わせてコンビニを変えていくことだというのです。(店舗でいえば)地方ならノンビリを優先する時間の価値に合わせて、店舗に集まってゆっくりおしゃべり出来るような場の提供をしたり、東京なら健康志向の商品の売れ行きなどに合わせたりすることだ、と――。つまり、地域の実情にあった地域の生活を支援するコンビニを、それも物販だけではなくサービスも含めた店舗が次代のコンビニに求められるものだというのです。

そのためには次の時代のコンビニを定義しないといけない、とも言っています。そのうえでそれぞれの地域に合わせたコンビニを作り、客層をひろげていけば成長は期待できるというのです。

ただその実現には、本部の指示のもと、標準化で同じものを作り上げてきた、これまでのチェーンオペレーションを崩す必要があるというのです。支社制度を導入して地域で判断するシステムですね。本部が命令者ではなくサポートセンターに徹するということです。

それはローソンが業界に先駆けて出店している新業態「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」などに見られ、今期から一部のローソンが改装で「ローソンプラス」に転換している姿にも見ることができます。これは従来のコンビニになかったシステムの転換といえます。

そういえば、セブンの鈴木敏文会長は「過去の延長ではなく、未来から顧みて何をすべきかを考え、挑戦する。これがブレイクスルー思考だ」といっていましたね。

参考 日経新聞4月の「私の履歴書」/日経新聞4月23日、5月24日、25日、6月8日、9日/鈴木敏文著「なぜ売れないのか なぜ売れるのか」/週刊東洋経済5月26日号より


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